副業をしている人・したい人が約6割に急増!~公務員の副業には「社会奉仕」を求める声も~

株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、自主企画調査「副業に関する意識調査」を実施しました。全国の16~79歳の男女1万702人を対象にしたインターネット調査で、副業の実施状況や今後の意向、公務員に副業を認める条件などを尋ねたものです。

【調査結果のポイント】

  1. 有職者のうち「副業をしている人・したい人」は58.1%で、2018年の調査結果の44.5%から13.6%ポイント増加していることが明らかになりました
  2. 有職者のうち「副業により副収入を得ている」と回答した人が13.0%。内訳は、「ある程度決まった額の副収入が得られる副業をしている」が4.9%、「収入は安定していないが、副収入が得られる副業をしている」が8.1%となっています
  3. 公務員に対しては、副業を認める条件として、「本業に支障が出ないこと」「法律で認められること」「副業の内容が社会奉仕的であること」が多く挙げられました。特に「社会奉仕的であること」は公務員ならではの視点といえます

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考察
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政府は2017年3月の「働き方改革実行計画」を踏まえ2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、副業・兼業の普及促進を図っています。本調査結果からは2018年に実施した調査と比べて、有職者のうち「副業をしている人・したい人」が約6割に急増しており、副業への関心は高まっていることがうかがえます。

それでは、職務の公共性が高く、法律で仕事の内容が規定されている公務員についてはどうでしょうか。環境保護や教育問題に取り組むNPO法人、地方の活性化に取り組む団体などを国家公務員の副業先として想定し、政府が検討を進めています※1。地方公務員も原則として営利目的の副業は禁止ですが、任命権者の許可があれば勤務時間外に限る副業は可能としています。実際に兵庫県神戸市や奈良県生駒市では、公益性が高く、社会問題の解決や市の発展につながる活動を条件として公務員に副業を認めています。

本調査においても、公務員に副業を認める条件として、「本業に支障が出ないこと」「副業の内容が社会奉仕的であること」といった回答が多く挙げられました。「本業に支障が出ないこと」は会社員でも同様と考えられますが、公務員では「普段の行政サービスの質を低下させないこと」も留意すべき点と考えられます。また、「副業の内容が社会奉仕的であること」は公務員ならではの視点であり、すでに副業を解禁している自治体の取り組みとも方向性が一致しています。今後、公務員に社会奉仕的な副業が解禁されることで、身近な地域活動への貢献やNPO法人などの支援の可能性が広がり、地域活性化につながるものと期待されます。しかし、本業への支障や健康面の影響、情報漏えいなども考えられるため、副業のメリットを強調するだけではなく、リスクの検証と、公務員が担う業務の検証も行うなど、より深い議論がなされるべきでしょう。

※1 2018年6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」では、国家公務員の副業について「公益的な活動等を対象に環境整備を進める予定」とされています
分析者:田守 綾(公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部)

【調査に関するお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
公共サービス事業部 広報担当:秦(はた)
TEL:03-5295-2475
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage-research.co.jp/contact/index.php/input

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調査結果の詳細
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「副業で副収入を得ている人」が全体の13%
「副業や副収入を得ることを意識した活動」の実施状況を聞いたところ、13.0%の人が「副業により副収入を得ている」と回答しています。その内訳は、「ある程度決まった額の副収入が得られる副業をしている」人が4.9%、「収入は安定していないが、副収入が得られる副業をしている」人が8.1%でした。
また、「副収入は得ていないが、副業を意識した活動をしている」人は5.7%、「副業は行っていないが、今後何かしてみたいと思っている」人は39.4%となり、全体の45.1%が「副業や副収入を得ることを意識した活動」に関心を持っているといえます。

【問】あなたは現在、副業や副収入を得ることを意識した活動をしていますか。

回答対象:自営業・フリーランスを含む有職者(専業主婦・学生・休業中等を除く)

「副業をしている人・関心がある人」は2018年より急増し、58.1%に
「副業に関心を持っている人(※2)」は45.1%となり、2018年に実施した「副業に関する意識調査」結果(※3)の33.8%から、11.3%ポイント増加しています。また、「副業をしている人・関心がある人(※4)」で比較すると、今回の調査結果は58.1%と、2018年の44.5%から13.6%ポイント増加。「副業をしている人・関心がある人」共に急増していることから、副業への関心が高まっていることが分かります。特に、「副業は行っていないが、今後何かしてみたいと思っている」副業予備群が増加していることから、今後副業を行う環境が浸透していけばさらに副業人口が増える可能性もあると考えられます。

※2 「副収入は得ていないが、副業を意識した活動をしている」と「副業は行っていないが、今後何かしてみたいと思っている」の合計
※3 「副業に関する全国1万人の意識調査~副業するなら?男性は投資、女性はクリエーティブ系~」
https://www.intage-research.co.jp/lab/report/20180618.html (2018年6月18日公表)
※4 「ある程度決まった額の副収入が得られる副業をしている」「収入は安定していないが、副収入が得られる副業をしている」「副収入は得ていないが、副業を意識した活動をしている」「副業は行っていないが、今後何かしてみたいと思っている」の合計

【問】あなたは現在、副業や副収入を得ることを意識した活動をしていますか。

回答対象:自営業・フリーランスを含む有職者(専業主婦・学生・休業中等を除く)

公務員の副業は、「社会奉仕的である」ことを条件に認める声も
「公務員に副業を認める条件」について聞いたところ、「本業に支障が出ないこと」が男性51.7%・女性56.9%と最も高くなっています。男性では、次いで「法律(国家公務員法、地方公務員法)で認められること」が19.5%、「副業の内容が社会奉仕的であること」が14.3%となっていますが、女性では「副業の内容が社会奉仕的であること」が14.7%、「法律(国家公務員法、地方公務員法)で認められること」が13.7%となっています。
性年代別(※5)でみると、40歳未満の男性では「無条件で認めるべき」の割合が高い一方、30歳代の女性は「本業に支障が出ないこと」、60歳以上の女性は「副業の内容が社会奉仕的であること」「副業の内容と本業に相乗効果があること」など、副業の内容に制約を設ける傾向が高いことも分かりました。30歳代と60歳以上の女性は、日常生活で子育てや介護などの行政サービスに接することが多いと想定されるため、公務員の副業によるサービスの質の低下を懸念しているのではないかと考えられます。

※5 性年代別のデータは「資料編」P.9 (https://www.intage-research.co.jp/lab/20190611.pdf)をご覧ください。

【問】公務員に副業を認めようという動きがあります。公務員に対して、業務時間以外の時間を活用した副業を認める場合、どのような条件が必要だと思いますか。

「その他」は1.0%未満のため省略

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【調査概要】
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調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象者:マイティモニター 全国16歳以上79歳までの男女個人
サンプル構成:平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数:10,702サンプル
調査期間:2019年3月25日(月)~3月27日(水)
調査内容:副業の実施状況、今後の意向、副業の具体的な内容、公務員に副業を認める条件
調査実施機関:株式会社インテージリサーチ

【株式会社インテージリサーチ】 http://www.intage-research.co.jp/株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、インテージグループの一員として、社会・公共領域をテーマとした調査研究、公的統計調査の受託や民間の市場調査のデータ収集を行っています。